今日は漆喰について。

「漆喰(しっくい)」は、消石灰や貝灰に麻苆(あさすさ)、糊を入れて水で塗り混ぜたもの。
主材となる消石灰は比重や粒子の細かさによって品質が分類され、上塗り用・下塗り用の別がある。
非常になじみの深い材料で、昭和初期から中期頃までは、一般的に使用された左官材である。
硬化に長時間を要することから最近は敬遠され、乾燥時間の短い石膏プラスターが似た風合いに
仕上がることから多用されるようになっている。
漆喰には、普通漆喰のほか、黄土やベンガラなどの顔料で着色した「色漆喰」、砂を混ぜた「砂漆喰」
などがある。最近は自然素材として見直されてきており、施工性を改良し、石膏ボードなどに薄塗り
仕上げできる製品も流通し始めている。

 

○消石灰
消石灰とは全国各地で産出・採掘される石灰石を粉砕・焼成・加水(消化)等の工程を江戸時代から伝わる
土中窯を利用し「塩焼き」と呼ばれる技法などで生成される。「塩焼き」とはコブシ大に砕いた石灰岩を
800~900℃で焼く際に岩塩を加えることで、鉱石に含まれる不純分を取り除き、漆喰に適した、結晶の大きな
生石灰を焼き出すことができる。生石灰に更に水を加え、発熱させ消化反応という化学変化により最終的に
消石灰が生成される。そうして作られた消石灰は工業・農業用、漆喰の原料として使用する。

○貝灰
貝灰(かいばい)はハマグリ・ホッキガイ・カキなどの貝殻を蒸し焼きにして作られる灰。
貝灰に対し消石灰を石灰(いしばい)という。

○苆
苆(すさ)は土や石灰に混ぜることで、つなぎとしての役割の他、収縮や膨張に対する補強材として機能する。
苆は、古畳の床を藁苆(わらすさ)に加工したり、紐や綱、魚網や蚊帳などをほぐしたりなど、リサイクル素材
として使われてきた歴史も持つ。海外では山羊や羊の毛を使った事例もあるが、耐アルカリ性や強度に乏しいとされる。

○角叉(つのまた)
角叉などの海藻は漆喰に粘りを与える接着剤の役割がある。
角叉は岩手や宮城を中心とした三陸ものが上物とされるが、流通は極端に少ない。取引上の分類は大変細かく、
特に産地(湾)と時期の違いで値が大きく変わる。角叉は関東を中心に使われ、関西では布海苔と銀杏草が使われる。

詳しくは古民家解體新書Ⅱ P181をご覧ください。